コラム
牧会コラム月報版 2022年3月
Author
mito
Date
2022-03-07 16:52
Views
2050
(※ 2月はお休みしました)
昨年召天された大学時代の恩師、金安信(キム・アンシン)先生は、キャンパス・クルセード・フォー・クライスト(CCC)のスタッフとして、私も含めた若者たちにいつもチャレンジに満ちたメッセージを語られた牧師先生でしたが、かつて先生が語られたメッセージの中に、言いえて妙、というべき表現が出てきたことがありました。
それは、ディボーションの時間にクリスチャンたちがまともな姿勢で臨まないことに対して苦言を呈しておられたメッセージでした。とにかくだらける、眠たがる。そんなだらしない姿勢と比較して、先生はこのようなことをおっしゃったのでした。「神さまの御前ではそんな姿勢ですが、テレビだとどうですか? ちゃんとしているでしょう? テレビの『御前(みまえ)』で……。」若者たちは爆笑しました。しかし、みな一様に心を刺されたはずです。まるでテレビをイエスさまよりも大事な偶像のようにしているクリスチャンに対する、金先生独特の痛烈な皮肉に聞こえたのでした。
私は教会からお休みをいただいていた間、日曜日の礼拝を韓国ソウルの派遣教会、「カルバリ浸礼教会」のYouTubeによる礼拝中継でおささげしました。驚きました。字幕やカメラワーク、音響など、完全にプロフェッショナルの領域で、それこそテレビ番組と遜色ないレベルで視聴することができました。私はパソコンをつないだテレビの画面の前に釘づけになり、集中して礼拝をおささげすることができました。
礼拝を終えて、私は久しぶりに、あの「テレビの『御前』」という金安信先生のご冗談を思い出しました。確かに私ども一家はテレビの画面を前にしていましたが、これならおそらく、金先生は皮肉めいた物言いはなさらなかったはずです。それは「何で見るか」ではなく(この場合はテレビ画面)、「何を見るか」(この場合は礼拝中継)のほうがよほど大事だからです。
カルバリ浸礼教会をして高いレベルの礼拝中継に押し上げさせていた韓国キリスト教会の映像技術のレベルは、大変なものです。ほんの30年ほど前までは、韓国はケーブルテレビはおろか、昼間のVHFの放送さえなかったのがテレビの世界の実情でしたが、今や韓国にはケーブルテレビが普及し、極東放送、CBS、CTS、CGNTVといったキリスト教専門の放送局がテレビ番組を配信するようになって、韓国のキリスト教会の提供する映像コンテンツは相当に高いレベルのものとなりました。私も留学や仕事で韓国に住んでいた頃、それらの番組をよく視聴したものですが、日本人クリスチャンとしてうらやましい、という感情が湧き上がる以前に、何やら、夢でも見ているような気分だったものでした。
インターネットによるカルバリ浸礼教会の礼拝中継は、その夢のつづきのようなものと言えました。やっぱりすごい! しかし私は、全体が韓国語で流されるこの礼拝中継に対して、どこか、韓国教会のものだからこれくらいできて当たり前だ、という感覚で視聴してしまっていたようでした。その背後で映像を作りこんでいるスタッフの技術やチームワークといった努力の結晶が、いつの間にか見えなくなっていました。
しかし、そのような努力の跡を見せないような映像配信こそ、プロの仕事と言えるのかもしれません。もちろん、それだけの機材や人材をそろえられるほどに、教会が豊かだからということはもちろんのことですが、贅を凝らしすぎて、礼拝をささげているのか、それとも派手な演出のテレビ番組を視聴しているのかが分からなくなるようでは困るわけです。豊かさに裏打ちされたさりげなさ、難しいですが、カルバリ浸礼教会の礼拝中継はそれを見事にこなしていることに気づかされ、あらためてこの恵みを日本の地でも味わえたことに感謝したものでした。
さて、そのレベルからしたら、まだよちよち歩きの段階ですが、当教会も礼拝の同時中継を開始します。みなさまには、どうか赤ちゃんの成長を長い目で見守るようなやさしさで、この取り組みを応援していただければ幸いです。音響のミキサーなど、既存の機材も使いようによってはさらにレベルの高い映像配信ができるようになると思います。この礼拝中継でモニターの前に座ることは「テレビの御前」に座ることではなく「主の御前」に座ることです。しかし私たちは、この礼拝配信を「安易な代替物」ととらえるのではなく、「やがて礼拝堂にてともに集うための大事なステップ」として、21世紀の時代に存在を許された文明の恩恵に浴しつつ、ご家庭にて真剣に礼拝をささげていただきたいと思います。
昨年召天された大学時代の恩師、金安信(キム・アンシン)先生は、キャンパス・クルセード・フォー・クライスト(CCC)のスタッフとして、私も含めた若者たちにいつもチャレンジに満ちたメッセージを語られた牧師先生でしたが、かつて先生が語られたメッセージの中に、言いえて妙、というべき表現が出てきたことがありました。
それは、ディボーションの時間にクリスチャンたちがまともな姿勢で臨まないことに対して苦言を呈しておられたメッセージでした。とにかくだらける、眠たがる。そんなだらしない姿勢と比較して、先生はこのようなことをおっしゃったのでした。「神さまの御前ではそんな姿勢ですが、テレビだとどうですか? ちゃんとしているでしょう? テレビの『御前(みまえ)』で……。」若者たちは爆笑しました。しかし、みな一様に心を刺されたはずです。まるでテレビをイエスさまよりも大事な偶像のようにしているクリスチャンに対する、金先生独特の痛烈な皮肉に聞こえたのでした。
私は教会からお休みをいただいていた間、日曜日の礼拝を韓国ソウルの派遣教会、「カルバリ浸礼教会」のYouTubeによる礼拝中継でおささげしました。驚きました。字幕やカメラワーク、音響など、完全にプロフェッショナルの領域で、それこそテレビ番組と遜色ないレベルで視聴することができました。私はパソコンをつないだテレビの画面の前に釘づけになり、集中して礼拝をおささげすることができました。
礼拝を終えて、私は久しぶりに、あの「テレビの『御前』」という金安信先生のご冗談を思い出しました。確かに私ども一家はテレビの画面を前にしていましたが、これならおそらく、金先生は皮肉めいた物言いはなさらなかったはずです。それは「何で見るか」ではなく(この場合はテレビ画面)、「何を見るか」(この場合は礼拝中継)のほうがよほど大事だからです。
カルバリ浸礼教会をして高いレベルの礼拝中継に押し上げさせていた韓国キリスト教会の映像技術のレベルは、大変なものです。ほんの30年ほど前までは、韓国はケーブルテレビはおろか、昼間のVHFの放送さえなかったのがテレビの世界の実情でしたが、今や韓国にはケーブルテレビが普及し、極東放送、CBS、CTS、CGNTVといったキリスト教専門の放送局がテレビ番組を配信するようになって、韓国のキリスト教会の提供する映像コンテンツは相当に高いレベルのものとなりました。私も留学や仕事で韓国に住んでいた頃、それらの番組をよく視聴したものですが、日本人クリスチャンとしてうらやましい、という感情が湧き上がる以前に、何やら、夢でも見ているような気分だったものでした。
インターネットによるカルバリ浸礼教会の礼拝中継は、その夢のつづきのようなものと言えました。やっぱりすごい! しかし私は、全体が韓国語で流されるこの礼拝中継に対して、どこか、韓国教会のものだからこれくらいできて当たり前だ、という感覚で視聴してしまっていたようでした。その背後で映像を作りこんでいるスタッフの技術やチームワークといった努力の結晶が、いつの間にか見えなくなっていました。
しかし、そのような努力の跡を見せないような映像配信こそ、プロの仕事と言えるのかもしれません。もちろん、それだけの機材や人材をそろえられるほどに、教会が豊かだからということはもちろんのことですが、贅を凝らしすぎて、礼拝をささげているのか、それとも派手な演出のテレビ番組を視聴しているのかが分からなくなるようでは困るわけです。豊かさに裏打ちされたさりげなさ、難しいですが、カルバリ浸礼教会の礼拝中継はそれを見事にこなしていることに気づかされ、あらためてこの恵みを日本の地でも味わえたことに感謝したものでした。
さて、そのレベルからしたら、まだよちよち歩きの段階ですが、当教会も礼拝の同時中継を開始します。みなさまには、どうか赤ちゃんの成長を長い目で見守るようなやさしさで、この取り組みを応援していただければ幸いです。音響のミキサーなど、既存の機材も使いようによってはさらにレベルの高い映像配信ができるようになると思います。この礼拝中継でモニターの前に座ることは「テレビの御前」に座ることではなく「主の御前」に座ることです。しかし私たちは、この礼拝配信を「安易な代替物」ととらえるのではなく、「やがて礼拝堂にてともに集うための大事なステップ」として、21世紀の時代に存在を許された文明の恩恵に浴しつつ、ご家庭にて真剣に礼拝をささげていただきたいと思います。
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