牧会コラム週報版 196 2024.8.11
「ダビデとヨナタン2」
先週このコラムで書きました、ヨナタンの断食破りのエピソードについてですが、その禁を犯したことは神さまによって明らかになりました。だれのせいで血のままで獲物を食べる罪がイスラエル軍の間に起きたのか、サウルがそれを知りたくて主の啓示を求めたとき、選り分けられたのはヨナタンでした。ヨナタンはさすがにこのとき、断食を破ったことで神の前に罪を犯したことを認め、処刑されることを覚悟しましたが、イスラエルの民は、国に大勝利をもたらしたヨナタンが殺されるようなことがあってはならないと声を上げ、こうしてヨナタンのいのちは守られました。
このことは、ヨナタンがいかに素晴らしい歴戦の勇士であったか、そして、それゆえに民の人望がとても厚かったか、ということを示しています。また、民にはおそらく、このようなことを言う王は血迷っている、ということもわかっていたはずで、ほんとうにイスラエルの王としてふさわしいのはサウルではなく、ヨナタンのほうだ、と、口に出さなくても感じていたのではないでしょうか。
そのように、ヨナタンは神の民イスラエルの王としてふさわしくなるべく整えられ、今や押しも押されもせぬ実力を持つまでになりました。しかし、そのヨナタンであっても、歯の立たない相手がいました。それは、ペリシテ軍の代表戦士、ゴリアテです。全イスラエルからだれも彼の挑発に乗って戦いを挑む者が出てこなかったことが聖書にしるされていますが、ということは、そのゴリアテを前に震え上がっていたイスラエル軍の兵士たちには、ヨナタンも含まれていたことになります。ペリシテの兵士たちをちぎっては投げのさしものヨナタンも、この身長286センチにもなる大巨人を前にしては手も足も出なかったのでした。
ところが、そのようにどんな兵士も立ち向かえなかった中、颯爽と現れた少年がいました。羊飼いの八男坊の、年端も行かない少年……だが、彼は傲慢にも神の民イスラエルを愚弄する大巨人に激怒しました。この少年こそ、サウルに代わる未来の王として油注がれたダビデでした。
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